元町映画館のイベントレポートから転載します。
2018.11.07
11/3(土) 『1987、ある闘いの真実』スペシャルトーク開催しました!
公開2週目となるも連日大入りの『1987、ある闘いの真実』。公開を記念して、神戸大学大学院国際協力研究科の木村幹教授をお招きして、「韓国と民主化とその時代」と題したトークイベントを開催しました。
この作品は昨年(日本での公開は今年ですが)1987年の30年後を記念して制作されました。今回、鑑賞3回目だとおっしゃる木村先生。解説を任されたものの、この手の韓国の作品はなかなかに難しいとおっしゃいます。日本のドキュメンタリーだとわりとドキュメンタリーっぽく撮るが、韓国のドキュメンタリーはほぼほぼ事実ではあるものの、適宜に誇張や実在しない人物を出してくるので、どこからどこまでが本当の意味の真実で、どこからどこまでが創作なのかがなかなかわかりにくいのが理由だとおっしゃいます。
パルシネマで7日(水)まで上映されていた光州事件を基に制作された『タクシードライバー』や歴史映画・歴史ドラマにも共通して多く見られる手法だそうです。
情報量が多い本作。映画で描かれた時代に直近した歴史的出来事の流れやもっと長い時間の流れの中で起きた出来事のまとめ、実在の人物や事件の際に実際に用いられた写真などを多用し、パワーポイントでわかりやすく説明くださいました。
また映画の出演者と実在の人物の写真を見比べ笑いを誘う一幕も。
この作品の背景で重要なのは“世代”だと木村先生はおっしゃいます。映画では描かれてはいないものの、ハ・ジョンウ演じるチェ・ファンと牢獄で手紙を書くイ・ヒジュンが演じるユン・サンサムとソル・ギョング演じるキム・ジョンナムは、なんとソウル大学政治学科の同窓生だそうです。
1965年日韓基本条約が締結された前年の1964年に起きた大規模な学生運動6・3学生運動に参加していた世代の人たちに当るといいます。この世代で有名な人を挙げるならイ・ミョンパクとの名前に、会場からは“あ~”との声が。
『タクシードライバー』で描かれる光州事件は7年前の1980年。大量の死人が出たといいます。『1987、ある闘いの真実』で描かれる1987年にはそこまで多くの死人は出ていない、そこに時代の大きな変化を見ることができると木村先生はおっしゃいます。
最後の質問コーナーも盛況で、終始熱気あふれるトークイベントとなりました。
『1987、ある闘いの真実』は11/16(金)までの上映です。
来週からは香港で2014年に「真の普通選挙」を求めて起きた雨傘運動の79日間を記録したドキュメンタリー『乱世備忘 僕らの雨傘運動』も公開されます。
こちらも併せてお見逃しなく!
(まりこ)
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『1987、ある闘いの真実』上映&トーク
トーク「韓国の民主化とその時代」
日 時 11/3(祝・土) 16:30の回上映終了後
会 場 元町映画館2Fイベントルーム
登壇者 木村幹さん(神戸大学大学院国際協力研究科教授)
※当日映画を観られた方対象、参加無料
当日は朝10時より、入場とトーク参加の整理券を受付順に配布します。トーク会場は劇場より狭いため、定員に達し次第受付終了となりますのでご注意ください。
今回は元町映画館で公開される『1987、ある闘いの真実』です。
『1987、ある闘いの真実』スペシャルトーク開催決定!
空前の好景気“バブル”の幕開けに、日本中が浮かれていた1987年。隣の韓国では、ひとりの大学生が警察に連行され取り調べ中に命を落としたことをきっかけに、軍事政権に不満を持つ民衆の怒りが爆発、国民が国と闘う民主化闘争へと発展した…。わずか30年前に韓国で起きた民主化闘争の真実を描いた『1987、ある闘いの真実』公開を記念して、スペシャルトークを開催します。今や韓国文化も日本で定着し、とても近い国でありながらこのことを知る人は多くありません。ぜひこの機会に、韓国をより深く理解してもらいたいと思います。