辛淑玉さんとともに考えよう 平和と人権―レイシズム問題を中心に ―鼎談 泥憲和さん×李信恵さん(2014/08/30@神戸)

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■□■市民社会フォーラム協賛企画■□■
非核の政府を求める兵庫の会 市民学習会
辛淑玉さんとともに考えよう
平和と人権―レイシズム問題を中心に


日 時 2014年8月30日(土)14:30~17:00
会 場 兵庫県保険医協会5階会議室(神戸フコク生命海岸通ビル5階)

講 師 辛 淑玉さん(人材育成技術研究所所長、のりこえねっと共同代表)
鼎 談 泥 憲和さん(関西カウンター行動メンバー)

李 信恵さん(フリーライター、在特会を提訴)
主 催 非核の政府を求める兵庫の会
問合先・事務局 電話078-393-1833 
shin-ok@doc-net.or.jp

協 賛 市民社会フォーラム
 
 2013年の流行語大賞にもなるほど社会問題として注視されるようになった「ヘイトスピーチ」は、いまだ各地で繰り広げられています。多文化のもとで共生する人びとの平穏な生活を切り裂き、民族差別や人種偏見に満ちた、侮辱的、脅迫的言動が繰り返されているのです。ヘイトスピーチは、「市民として生きる権利」を希求する人類の普遍的価値を否定するものです。
他方、安倍政権のもとで、近隣国と歴史認識・領土問題での軋轢が生じ、また秘密保護法、集団的自衛権の容認など人権と平和を脅かす流れがあります。
日本軍「慰安婦」問題やヘイトスピーチに象徴される「上から」と「下から」のレイシズムについて、辛淑玉さんにお話しをうかがい、関西でヘイトスピーチへのカウンター行動の取り組んでいる方をゲストにお招きし、皆さんと交流します。
【辛淑玉(しん・すご)さん】
人材育成技術研究所所長。東京生まれの在日コリアン3世。
企業、自治体、教育機関からの依頼で人材育成、人権・男女共同参画に関る講演等を行う。
東日本大震災以降は被災地支援にも尽力。
2013年ヘイトスピーチとレイシズムを乗り越える国際ネットワーク「のりこえねっと」を立ち上げ共同代表に就任。
 

市民学習会 平和と人権とレイシズム 辛さん、泥さん、李さんに「勇気もらった」

非核の政府を求める兵庫の会(風呂本武敏代表世話人)は8月30日、兵庫県保険医協会会議室で、市民学習会を開催しました。題して、「辛淑玉(シン・スゴ)さんとともに考えよう~平和と人権―レイシズム問題を中心に~」。市民社会フォーラム、九条の会.ひがしなだ、神戸学生青年センター、神戸YWCA平和活動部などが協賛しました。ヘイトスピーチ(差別的憎悪表現)と闘う〝話題の3人衆〟が、神戸に勢ぞろいとあって、150人参加で大会議室が満杯の大盛況となりました。

日本の「戦後処理」に起因

第1部では、在日3世のコリアンで、「ヘイトスピーチとレイシズムを乗り越える国際ネットワーク」(「のりこえネット」)共同代表の辛淑玉さんが「平和と人権とレイシズム」をテーマに、基調講演しました。辛さんは、今なお根深い在日差別問題の源は「日本政府の戦後処理にある」と指摘。1945年12月に台湾人・朝鮮人の内地参政権を停止し、1945年2月の外国人登録令で「日本人から外した」ことを、棄民政策の具体化として告発しました。

レイシズム(人種差別主義)についても、「合法的命の選別」と喝破。ナチスドイツに殺された順番は捕虜、ポーランドの政治犯、戦争の役に立たない者、ユダヤ人だったとして、「ガス室送りのシステムなど、殺すことを工業化した」と指摘。そうした大虐殺を可能にしたのが、命令を背景とした「役割とルール」であり、「彼らは悪いことをやった後、必ず情報を隠し、壊す」と、ファシズム権力の本質を明らかにしました。

ナチスのホロコーストを例に、「殺してもいい人種があるのは、平和ではない。いかに差別をなくすか、背景の貧困をいかになくすか、その先に平和がある」と強調しました。

また、「ヘイトスピーチは国家意思の保険が付いた差別であり、国家の別働隊」と、「上から」と「下から」のレイシズムの関係を分析。これらを踏まえて、「反レイシズムのカウンター行動は、新しい闘い方であり、教えられる」と、高く評価しました。

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150人参加で大盛況の辛さん講演

社会を変え、社会で勝とう

第2部は、辛さんを軸に、元衛官でカウンター行動の先駆けとされる泥憲和(どろ・のりかず)さん、今年8月18日に「在日特権を許さない市民の会」(在特会、桜井誠会長)などを相手に、大阪地裁へ損害賠償を求めて提訴した李信恵(リ・シネ)さんとの鼎談。

8月下旬に国連人種差別撤廃員会から日本政府に出されたヘイトスピーチへの対処勧告について、泥さんは「勧告は出たが、社会で負けたのでは意味をなさない。相手は保守体制全体。歴史修正主義という敵も大きく、手間ヒマかけてでも、日本人の誇りにかけて変えていかないと、世界の表通りは歩けない」と、自説を披露しました。

在特会だけでなく、ネットサイトの「保守速報」も、損害賠償の対象として提訴した李さんは、「自分は記者だから、まだ記事やインターネットで対抗できるが、多くの市民は黙らされる。ネットが生活の一部になっている人間にとって、ネットでの攻撃は全人格の否定に近く、心の痛みは大きい」「教育はとても大事であり、差別のない取り組みを強め、社会を変えるしかない」と、闘いの道筋を語りました。

締めくくりは、辛さんから李さんへの激励のプレゼント。「女の闘いで最も苦しい時に、これを身につけて乗り越えたら、また次に人に」と、辻元清美(衆議院議員)さんから受け継いだ首飾りをリレーしました。「辻元さんの前は、作家の落合恵子さんだった」とのことです。

李さんの裁判は、10月7日、大阪地裁で第1回口頭弁論があり、報告集会に続いて、支援する会の発足総会も予定されています。

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李さんに激励の首飾りリレー

関心に応え、横に広がろう

  最後に、風呂本代表世話人が、「非核の会は、核廃絶の運動が中心だが、東日本大震災を契機に、核と原発の問題が表面化して以降、テーマの範囲を広げて市民学習会を開催したところ、3、4倍もの人に来てもらえるようになった。関心の強いテーマをテコとして横につながることの重要性を学び、それがここ数年の教訓となっている」と、主催者あいさつ。さらに、「今回お招きした3人には、大きな勇気を貰った」として、1930年代の英国詩人、W・H・オーデンの言葉を引用しつつ、「人間は、妥協してはいけない一線を持っている。それを持っている人は信頼できる」と、エールを送りました