【レポート】市民社会フォーラム第63回映画鑑賞会「大地を受け継ぐ」(2016/5/1日@元町映画館)

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元町映画館のイベントレポートから転載します。

2016.5.3
5/1(日)『大地を受け継ぐ』上映記念、スペシャルトーク開催。

震災後も福島で農業を続ける家族と東京の学生たちとの対話、交流を描いた本作。上映を記念し、井上淳一監督と松竹伸幸さん(かもがわ出版編集長)とのスペシャルトークを開催しました。

井上監督の来館は『アジアの純真』『たとえば檸檬』『戦争と一人の女』『あいときぼうのまち』についで5度目。3.11後、震災関係の作品が数多く製作されたが、最近は雑なつくりなものが多いと語りました。

ご自身が師と仰ぐ中村登監督から「エンタメは一番低い目で誰かを撮ること大切」と指導され、本作を撮っていく内に「一番低い目でそのままの福島を見ることができているんじゃないか。これを作品として世に伝えよう」と思ったそうです。

松竹さんもご自身が行っている被災地への支援を紹介した後、被災者から「ここ(被災地)は5年を迎えたが、節目でもなんでもない。「5年が節目」と周りが勝手に言っているだけ、我々、被災者にとっては全く関係ないことだ」とお聞きし、一層支援の幅を広げようと考えたそうです。

その言葉は他県に住む人々にとっても例外ではなく、節目と線を引いても何も解決しません。日本は島国ですが同じ大陸の出来事であること、誰もが問題意識を持つことが大切だと感じました。監督がその後、「そこに染み付いた記憶を受け継ぐことが大切」とおっしゃいました。この言葉が非常に印象的でした。

現在、東京より西へ行けば行くほど震災、原発問題の関心が小さいそうで、松竹さんは被災地へのツアーや神戸のジャズと合わせた復興支援など、出版社の枠を超え、自分ができることを実施されているそうです。

沖縄での上映では反応が悪く、被災地から原発問題のために沖縄に移住せざる得なくなった人々が個々に持つ震災への考えも話して頂きました。沖縄基地の問題と絡めてお話しする井上監督と松竹さんの姿は観客にどう伝わったのでしょうか。

質問コーナー終了後のサイン会でもお二人に質問されるお客様が多く、参加者一人一人が何かを感じ取った時間になったと思います。

『大地を受け継ぐ』は5/13(金)まで公開。

(芋羊甘)

■□■市民社会フォーラム第63回映画鑑賞会■□■
「大地を受け継ぐ」
トーク 井上淳一監督と松竹伸幸さん(かもがわ出版編集長)
日 時:5/1(日) 10:00~11:30の回上映終了後
会 場 元町映画館2F

「大地を受け継ぐ」公式サイト https://daichiwo.wordpress.com/
元町映画館公式サイト http://www.motoei.com/

※当日映画を観賞された方を対象、参加費無料。
※映画鑑賞料は下記サイトをご覧ください。

 

市民社会フォーラム恒例、一般公開の映画の鑑賞会。
今回は元町映画館で映画上映のあと、
『大地を受け継ぐ』井上淳一監督トーク開催が決定。
福島第一原発から65kmの須賀川市。
原発事故を受けて農作物出荷停止の知らせが届いた翌朝、
自ら命を断った父の残した土地で農業を続ける樽川和也さんの内外の葛藤を語る”声”に耳を傾ける東京の学生たち。
その対話を捉えたドキュメンタリー『大地を受け継ぐ』の公開を記念して、
本作を監督された井上淳一さんと、『福島が日本を超える日』を刊行したかもがわ出版の松竹伸幸編集長とのトークを開催いたします。