【レポート】『おだやかな革命』舞台挨拶&トーク(2018/8/4土・5日@元町映画館)

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元町映画館のイベントレポートから転載します。

2018.08.07
『おだやかな革命』渡辺智史監督&井筒耕平さん舞台挨拶開催しました!

『おだやかな革命』初日の8/4(土)、渡辺智史監督と映画にも出演されているsonraku代表の井筒耕平さんにお越しいただき舞台挨拶を開催しました。
本作制作にあたっては、岐阜県郡上市の石徹白での平野彰秀さん、そして岡山県西粟倉村での井筒さんとの出会いがとても大きかったそうです。ふたりとも“革命家”にはとても見えませんが、「けっこう過激なことを言ってますよね」と渡辺監督(その内容はぜひ劇場で!)。
井筒さんは2014年に西粟倉村で起業され、現在は2軒のゲストハウスを運営されています。井筒さんが農山村に興味を持たれたのは大学のとき。先生が言われた「農山村には研究対象としても面白いし、“チャンス”がたくさんある」という言葉がきっかけだったそうです。
実際に訪れてみると、ビジネスのない土地だからこそ持続可能な地域を作りやすく、またやりがいもあると感じられたそうです。西粟倉村ではベンチャーがたくさん出てきていて、この12年で30社の会社が作られました。
そんな動きを知った渡辺監督は、「〈暮らすため〉ではなく〈稼ぐため〉に仕事をすることは、都市に人が集まり、大きな電力が必要になり、原発や火力発電が必要になってくる。経済とエネルギーは切り離して考えられない」と感じたそうです。
個々人の「どういう仕事をしたいか/どう生きていきたいか」が結果的にエネルギーの選択に繋がっていき、本作に登場するような中山間地域は、「こう生きたい」ということを実現できる場所としてもとても魅力的だと渡辺監督。
井筒さんは現在神戸在住。12年ぶりという都市生活では「街に溶ける」と感じられたそうです。いい意味でも悪い意味でも農村では「目立ち」、街では「溶けて」見えなくなるというお話が印象的でした。逆に今は溶けずにいるにはどうすれば良いかを考えているのだそうです。
ただ「原発反対!」と声高に叫ぶのではなく、ひとりひとりの生き方の選択が未来のエネルギーを変えていく可能性があるということは私にとっても大きな学びとなりました。この“おだやかな革命”が各地に広がっていくことを願っています。まずは映画をぜひご覧ください!
(mirai)

2018.08.07
『おだやかな革命』渡辺智史監督&山崎亮さん(studio-L代表)によるトークイベント&SIMPLE LIFE MARKET開催しました!

エネルギー自治を目指す各地の取り組みから、これからの時代の豊かさを問いかけるドキュメンタリー映画『おだやかな革命』の公開を記念して、渡辺智史監督とstudio-L代表の山崎亮さんのお二人によるトークを開催しました。
まずは監督から今回の制作過程についてお話が。元々はエネルギー事業のドキュメンタリーとして取材を始めたとおっしゃる渡辺監督。取材を重ねていく中で、そこだけを切り取っても映画的なテーマが見えてこなくなるなどの迷いも生じたそうです。最終的に地域経済についてまで取材をしたことで、そもそも自分たちはどういう経済にしていきたいのか・どういう風にして生きていきたいのかという筋が見えてきたとおっしゃいました。
ここから先は渡辺監督と山崎さんのフリートークです。
2010年度のグッドデザイン賞にも選ばれた「島の幸福論」と名付けられた島根県にある海士町の総合計画を手がけたことで有名な山崎さん。ただご本人はこの件に関して、町長が本当にすごい人で自身は話し合いの機会を設けるなど極一部をお手伝いしただけだとおっしゃいます。また海士町の現状を、10年計画に沿ってピタッと計画が進んでいったかといえばそうではなく、やっていく中でもっとこうした方がいいんじゃないかと新しいものが生まれたり、誰かが持ち込んだ企画から町の人が刺激を受けてまた新しい企画が生まれるなど、関係性の連鎖で常に何か新しいことが生まれていると分析されました。
またトップの人が迅速に動く良い例として、今回の映画の舞台にはなっていませんが、瀬戸内芸術祭で有名な瀬戸内の町長をお二人共に挙げられました。
「神戸はローカルな場所ではないかもしれませんが、生活クラブがやっている都市と農村の共存、それぞれのないところとあるところを合わせていかないと生きていけないようになってきているように思います」と渡辺監督。山崎さんからは「今は共働きでも業種によっては生活が苦しかったりする。経済が豊かになれば夫婦のうちどちらかが週に2日や3日くらい働けばなんとか生活できるというのを先達たちは目指していたはずなんじゃないでしょうか」と現代の社会が抱える問題に対して言及も。
また次回公開待機作『YUKIGUNI』についても渡辺監督からお話が。仕事が楽しすぎて、今だに週6日働いている酒田市に住む92歳のバーテンダーの方に焦点を当てた一作。現役で働いている時間と現役引退後の時間はほぼ同じだと言われる現代において、引退後はどうするのか、その後の暮らしについて今のうちに考えておくことの重要性や肩書きを2つ持つことについてなど、トークは多岐に渡りました。
「色をつけずに見ればどんな制度にもいいところがあって、それをどうやって選び出して身にまとって生活していくかが大事なのかなと思います」と山崎さん。
「生活者は消費者でなく、編集者です」とおっしゃる渡辺監督。
同日、会場では“「暮らしの選択」を考えるきっかけを届ける”をテーマとしたSIMPLE LIFE MARKETの開催も。トークの前後にも出展者の方々とお客さまが熱心に話し合われているところを目撃するなど、なかなかの盛り上がりようでした。
どのような未来を選び取るのか、自身の今と未来を見つめるきっかけとなる『おだやかな革命』。
8/17(金)までの公開です。ぜひお見逃しなく!
(ま)

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   『おだやかな革命』舞台挨拶&トーク

今回は元町映画館で公開される『おだやかな革命』です。

■舞台挨拶
日 時 8/4(土) 13:10の回上映終了後
登壇者 渡辺智史監督、井筒耕平さん(sonraku代表)

■トーク
日 時 8/5(日) 13:10の回上映終了後
会 場 元町映画館2Fイベントルーム
登壇者 渡辺智史監督、山崎亮さん(studio-L代表)
※いずれも当日映画を観られた方対象、参加無料

『おだやかな革命』舞台挨拶&トーク開催決定!

原発事故後に福島県の酒蔵の当主が立ち上げた会津電力、居住制限区域となった飯館村で畜産農家が立ち上げた飯館電力、岐阜県石徹白で集落存続のために100世帯全戸が出資した小水力発電…。エネルギー自治を目指す各地の取り組みから、これからの時代の豊かさを問いかけるドキュメンタリー『おだやかな革命』。公開を記念して、舞台挨拶とトークを開催します!

『おだやかな革命』公式サイト http://odayaka-kakumei.com/
元町映画館公式サイト http://www.motoei.com/