【レポート】『共犯者たち』上映&白石孝さんトーク(2019/2/24日@元町映画館)

投稿日:

元町映画館のイベントレポートから転載します。

2019.2.24 『共犯者たち』スペシャルトーク開催しました!

国民の支持を失いかけメディアへの露骨な政治介入を始めた2008年韓国の李明博政権。公営放送局MBCを不当解雇されたチェ・スンホ監督らは独立メディア「ニュース打破」を立ち上げ、言論弾圧の主犯である大統領と、権力に迎合した放送業界内の“共犯者たち”をカメラの前に立たせて、その実態と構造を明らかにしていく…。メディアの存在意義をかけたジャーナリストたちの抵抗を描いたドキュメンタリー『共犯者たち』の公開を記念し、昨年4月に「ソウルの市民民主主義 -日本の政治を変えるために」を刊行された白石孝さんのスペシャルトーク開催しました!

「共犯者たち」アフタートーク~韓国の市民民主主義から理解を深める

白石 孝 2019年2月24日(日) 神戸市

1 なぜ今韓国か

①日本を振り返る座標軸。なぜ日本の政党政治、社会運動、労働運動がこれほど力をなくしたかを韓国の「成功」を通して振り返ることができるのではないか。

②日本的見方からの脱却、発想の転換から始めよう

・1945年8月15日はアジアにとっては「解放」、日本にとっては「敗戦」~これは周知の事実

・ただ戦後74年、朝鮮半島をどう見ていくかで、日本では「無知」「無理解」「誤解」「曲解」「ねつ造」などがあふれている。

・南朝鮮~韓国の戦後史と今を掴むには、南北問題と同時に保守政党と民主・進歩政党の経済・産業政策、1997年以降の雇用・労働政策と社会保障政策をトータルに見ていかないとならない。

・平和だけを「切り取って」朝鮮半島、韓国を見るのでは不十分。

・アジアに対する「上から目線」「日本はいちばん」という意識からの転換を。

2 韓国やソウル市で何が起こっているのか、日本にはほとんど伝えられていない

今の韓国、ソウルを伝えたい。ポイントは、

①欧米反緊縮左派に学び「福祉国家」「社会民主主義政策」を志向していること、その政治「哲学」(理念)が基本にあること。→普遍主義と選別主義、ソウル市政、ムン・ジェイン政権100大国政課題

②代議制の改善と直接民主主義を同時並行的に進めていること。→市民運動による「加入戦術」、予算市民参与制度、マニフェスト実践本部、参与連帯

③平和主義と経済対策の両面からの革新→南北対話、→大財閥・輸出偏重政策から中小・小商工人、分配と再配分として最低賃金、社会福祉強化 →社会的企業、連帯経済

④福祉と地域協働の革新→出かけていく福祉、洞住民センター改善、マウル運動との融合

3 では日韓の分岐はどこから始まったのか~そこから正しい韓国理解に

① 日韓の対比

・1980年代に政治変革、社会運動で分岐した。光州民衆抗争から民主化VS 臨調行革から社会党・総評の解体。映画「タクシー運転手」~「1987」、かつては「ぺパーミント・キャンディー」

・1990年代後半からの新自由主義拡大、労働者・市民の両極化

・金大中・廬武鉉民主派政権  VS  民主党政権

・権力監視、政策立案、地域協働、連帯 VS 政権反対運動、分野別運動

②民主化(1987年)の成果が随所に~1987年民主化には、いろいろな「仕かけ」がされている。

・憲法裁判所、国家人権委員会、中央選挙管理委員会

③朴元淳ソウル市長から文在寅政権の内政課題

・所得不平等が格差の拡大、両極化を生んだ

・産業、経済構造の転換

・正規職化が原則、公共サービス拡大

・市民、生活者としての労働者~最低賃金・生活賃金、残業ゼロ、感情労働

・基礎生活無償主義~住宅、医療、教育、保育、介護

■□■市民社会フォーラム第108回映画鑑賞会■□■
       『共犯者たち』

日 時  2/24(日)『共犯者たち』15:20の回上映
会 場  元町映画館2Fイベントルーム
トーク 「韓国で進む市民民主主義」 上映終了後17:10~
登壇者 白石孝さん(NPO法人官製ワーキングプア研究会理事長)
※当日映画を観られた方対象、参加無料

今回は元町映画館で公開される『共犯者たち』です。

『共犯者たち』スペシャルトーク開催決定!

 国民の支持を失いかけメディアへの露骨な政治介入を始めた2008年韓国の李明博政権。
公営放送局MBCを不当解雇されたチェ・スンホ監督らは独立メディア「ニュース打破」を立ち上げ、言論弾圧の主犯である大統領と、権力に迎合した放送業界内の“共犯者たち”をカメラの前に立たせて、その実態と構造を明らかにしていく…。
メディアの存在意義をかけたジャーナリストたちの抵抗を描いたドキュメンタリー『共犯者たち』の公開を記念し、昨年4月に「ソウルの市民民主主義 -日本の政治を変えるために」を刊行された白石孝さんをお招きして映画の後にお話しいただきます。

■『共犯者たち』『スパイネーション 自白』公式サイト http://www.kyohanspy.com/
■元町映画館 https://www.motoei.com/