【レポート】『ラッカは静かに虐殺されている』上映&玉本英子さんトーク(2018/7/7土@元町映画館)

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元町映画館のイベントレポートから転載いたします。

2018.07.10
『ラッカは静かに虐殺されている』映像ジャーナリスト・玉本英子さんトーク開催しました!

イスラム国(IS)に制圧され海外メディアも報じることができない惨状を世界に発信するため、秘密裡に結成された市民ジャーナリスト集団“RBSS”(Raqqa is Being Slaughtered Silently/ラッカは静かに虐殺されている)の命を賭けた活動を追ったドキュメンタリー『ラッカは静かに虐殺されている』。初日の7/7(土)に「RBSSメンバーとIS支配下のラッカ」と題し、シリアなど中東地域の人びとの生の声を伝える映像ジャーナリスト・玉本英子さんのトークを開催しました。
映画の舞台となったラッカは人口20万人の小さな街で、玉本さんも内戦前に何度か取材で訪れられました。ところがIS支配下では、外国人記者は誘拐・殺害のターゲットになるため現地入りが難しく、現地の市民記者の情報だけが頼りになります。そうした市民記者たちとのやり取りの中でRBSSメンバーともコンタクトを取り、現地の生の声を発信していました。
2016年以降は「シリア民主軍」や「自由シリア軍」などの組織が作られ、各地でIS掃討作戦が開始されました。玉本さんが話を聞いた自由シリア軍の青年は、中学時代の友人が多数ISに入っていると話したそうです。国外に逃げるお金がなく、自分や家族が生きていくための働き口としてISを選ばざるを得ない青少年は多数おり、戦闘中に対峙したら友人であっても殺さなければならないとの言葉に大きなショックを受けたと玉本さん。友人どうしが殺し合わねばならないのが“内戦”なのです。
シリアに対し空爆を行ったアメリカは、使用する武器がいかに高性能で周囲の被害を最小限に抑えることができると強調していますが、玉本さんは「周辺住民を巻き込まない空爆などない。子どもたちにも甚大な被害が出ている」と言います。病院や学校が爆撃に遭えば世界中から非難が集中することを利用し、ISもわざとそういった場所に武器や軍用車を置いたりすることもあるそうです。どちらからも利用されて被害を被っているのは何も持たない市民たちばかりです。
やむにやまれぬ事情でIS入りする人もいるように、彼らは私たちと変わらないただの人間です。「IS=悪で、IS掃討が解決と考えるべきではない。ここに至るまでの歴史的な経緯もあり、単純な問題ではない。解決は難しく時間もかかる」と玉本さん。現在、ISの支配地域は映画撮影時よりもかなり減少しています。それにより、次は世界が関心を失うことで〈ラッカは静かに虐殺されている〉事態にならないかと玉本さんは懸念しています。“無関心”もひとつの暴力の形なのだと強く感じました。
『ラッカは静かに虐殺されている』は7/20(金)まで上映中です。上映期間中、RBSSの活動支援のための募金箱も設置しておりますのでどうぞよろしくお願いいたします。
(mirai)

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 『ラッカは静かに虐殺されている』&玉本英子さんトーク

トーク 「RBSSメンバーとIS支配下のラッカ」
日 時 7/7(土) 12:20の回上映終了後
会 場 元町映画館2Fイベントルーム
登壇者 玉本英子さん(映像ジャーナリスト)
※当日映画を観られた方対象、参加無料

今回は元町映画館で公開される『ラッカは静かに虐殺されている』です。

『ラッカは静かに虐殺されている』スペシャルトーク開催決定!

2014年6月“イスラム国”(IS)がシリア北部の街ラッカを制圧。
海外メディアも報じることができない惨状を伝えるため、秘密裡に結成された市民ジャーナリスト集団“RBSS”(Raqqa is Being Slaughtered Silently/ラッカは静かに虐殺されている)はスマホを武器に街の真実をSNSに投稿、その発信力を脅威に感じたISはRBSSメンバーの暗殺を計画する…。
シリア内戦の驚くべき真実を描くドキュメンタリー『ラッカは静かに虐殺されている』公開を記念して、シリアなど中東地域の人びとの生の声を伝える映像ジャーナリスト・玉本英子さんのトークを開催します。
米欧からの攻撃でさらに激震となっているシリアの“今”と“真実”を知る機会としていただけることを願います。

元町映画館公式サイト http://www.motoei.com/
『ラッカは静かに虐殺されている』公式サイト http://www.uplink.co.jp/raqqa/