【講演録】上脇博之さん講演「どうして?どうする?『政治とカネ』問題」(16/12/9金@神戸)

投稿日:

2016年12月9日、「どうして?どうする?『政治とカネ』問題」と題する学習会を開催しました。この学習会では、講師として神戸学院大学法学部教授の上脇博之さん、そして兵庫県議会議員の丸尾牧さんをゲストとして招き、政治とカネに関する諸問題について語っていただきました。

上脇さんは、政党助成金や政治献金に関する諸問題について解説しました。その中で上脇さんは、現行の選挙制度の下で、必ずしも民意を反映していない国会の議席獲得数と、それに基づく各政党への助成金交付額について疑問を呈したほか、「自民党の政治資金はバブル状態である」と指摘。また、リクルート事件や佐川急便事件、ゼネコン汚職などを教訓に中止したはずの経団連による企業献金斡旋が再開され、さらに「集団的自衛権の行使ができる旨を憲法上あきらかにすべき」といった提言をおこなったことなど、経済界が改憲の「買収」を画策しているとも取れる実態を紹介しました。さらに、政治資金パーティーの問題や、自民党の金額が突出している使途不明金についても解説しました。特に、政治資金が潤沢であればあるほど選挙戦を有利に進めることができ、結果として「政治資金バブル」の状態にある自民党政権による憲法改悪を招くことにつながる点を憂慮。憲法改悪阻止のためにも、「政治資金問題に関する真の改革が必要である」と説きました。

丸尾さんは、兵庫県議の政務活動費にまつわる不正問題と、それに対する改革について詳細を解説しました。兵庫県議会において、号泣会見で知られる野々村竜太郎元県議以外にも、複数の議員が政務活動費の不適切な取り扱いをしていた点を紹介。その背景として、交通費や宿泊費があらかじめ定められた規定額に基づき支払われていたこと(領収書添付は不要)や、商品名の記載のない領収証が認められていた点など、数多くの問題点を列挙。そのうえで、「実際に掛かった実費のみ認める方法に改める」「商品名や数量等が分かる領収証のみ認める」「詳細な活動報告書や客観的証拠となる資料の提出を求める」など、大幅な運用見直しをおこなうことにより、不正が起こりにくい状況に改善されたことを紹介しました。また、議会での一般質問の回数が非常に少なく制限されていることなどの弊害として、本来であれば文字通り「政務を調査するための費用」として議員ひとりひとりが有効に活用するべき政務調査費が、議会において有効に機能していないことなどの問題点を指摘。今後のさらなる改革の必要性を語りました。

◎上脇さん講演パート

 

◎丸尾さん報告パート

 

◎概要

■□■市民社会フォーラム第190回学習会■□■
どうして?どうする?「政治とカネ」問題

日 時 2016年12月9日(金)18:30~20:30
会 場 元町館「黒の小部屋」(元町映画館2階)
http://www.motoei.com/access.html
講 師 上脇博之さん(神戸学院大学法学部教授)

ゲスト 丸尾 牧さん(兵庫県議会議員)

「白紙領収書」、「政務調査費」の不正取得、金銭授受による口利き疑惑などなど、政治家のお金にまつわるニュースは耐えることなく、国政でも地方政治でも次々と問題が露わになっています。
その原資のほとんどは私たちの税金です。なぜそんなに不正がはびこるのか?どうしたら政治家のモラルの低下を防げるのか?
「政治とカネ」追及の第一人者の上脇博之さんが注目すべき改革案を提起されます。
ゲストに兵庫県議会での政務調査費などの不正を追及している丸尾牧さんをお招きします。

上脇博之さん
神戸学院大学法学部教授(憲法学)。「政治資金オンブズマン」共同代表、「株主オンブズマン」共同代表。兵庫県憲法会議幹事(事務局長)。「NHKのあり方を考える弁護士・研究者の会」共同代表。「安保関連法賛成議員の落選運動を支援する・弁護士・研究者の会」(略称 落選運動を支援する会)共同代表。
著書は『追及! 安倍自民党・内閣と小池都知事の「政治とカネ」疑惑』(日本機関紙出版センター、2016年)など多数。

イベントページ(Facebook)https://www.facebook.com/events/1287754604609139/