【動画】 本田宏 × 武田かおり 「どうなる? TPPと医療」

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冒頭~武田氏報告、40分~本田氏講演、1時間39分~トーク&質疑
 

◎武田かおり氏による報告

 

TPPは内容が膨大かつ曖昧 

TPPは対象となる範囲が非常に範囲が広く、しかも曖昧である。私たちの生活に関するほとんどの分野が対象となり、生活を大きく左右する。TPPの内容を正確にしゃべれる人は、政府の交渉担当官ですら、自分の交渉した内容しかしゃべれない。全部を喋れる人はTPP対策本部の官僚ですら数名しかいない。それほど範囲が広い。例えば、遺伝子組み換え作物や共済のことが具体的に書かれているわけではないが、それらも間違いなく対象になる。TPPはネガティブリストと呼ばれる形態のため、「これとこれは対象外」と書かれていること以外の「書かれていない事柄が全て対象」になる。条文はどうとでも読めるため、交渉している日本政府は大丈夫だと思っていても、相手国の政府や多国籍企業は、日本側と同じ読み方や理解をしているわけではない。これにより今後裁判が起きることが容易に想像できる。
 

TPPはマルチ商法の契約書

国会ですら議論がされていない中で白紙の契約書にサインするのと同じようなものであり、国会で批准してしまって大丈夫なのか。「TPP協定はタチの悪い消費者金融かマルチ商法の契約書のようで、とても読むに堪えない」と経産省所管の独立行政法人の研究所の専門家が言っている。出来の悪い協定、政治的に無理やり決着した、協定文を調整する前に決着しているので、あっちに飛びこっちに飛び、こっちに書いてあることがあっちにも関わってくるという中途半端な有様。ノーベル賞を受賞した経済学者・スティグリッツ氏ですら、「誰も読みこなしていないだろう」「TPPは害だらけで賛成できない」と主張。来日した際に消費税の発言ばかりが報じられたが、講演の半分はTPP批判だった。
 

大丈夫なのは今だけ

TPPが発効すると、「もっと儲けられるはずだったのに、日本政府のせいで損害を受けた」などと主張する外国企業から、日本政府が訴えられることになる。例えば、日本国内の法改正により損を受けたと外国企業や投資家が判断すれば、ISD条項に基づき訴えることができる。但し、訴えを起こせるのは外国企業だけであり、日本企業や日本政府は訴えを起こすことができない。つまり訴えられる一方ということである。TPPは「生きている協定」と言われており、TPP委員会や小委員会での日常的な協議を経て内容がどんどん変わっていく。今は「大丈夫」「これまでと変わらない」などと政府が言っていても、それは今の話にすぎない。
 

医療分野に大きな影響を及ぼす

TPPが医療分野に大きな影響を及ぼすのは確実で、特に高額医薬品の問題が進行する恐れがある。新薬を作るためには多額の研究開発費が掛かるのは分かる。但し、高額な医薬品の価格が本当に妥当なものなのかは不透明。例えば、アメリカの製薬会社が62年前に開発した新薬。その代替品として売り出されているジェネリック医薬品を買収。その後、薬価を55倍に値上げしたという出来事もあった。新薬の保険収載や価格決定をおこなう審査会(中医協)に利害関係者として製薬会社からの口出しが進むと、価格の透明性が担保されるのか。
 
そのほかにも、TPPに関する様々な問題点を提起しています。
詳しくは動画にてご確認ください。
 

◎本田宏氏による講演

 
 
市民社会フォーラム第186回学習会
十三藝術市民大学 社会学部
「どうなる?TPPと医療」
 
日 時 2016年10月15日(土)18:00~20:30
会 場 シアターセブン BOXⅠ(大阪・十三)
講 師 本田 宏さん(NPO法人医療制度研究会副理事長)
報 告 武田かおりさん(AMネット)
共 催 ほんまにええの?TPP大阪ネットワーク、AMネット
 
本田 宏(ほんだ ひろし)さん
1979年医師免許取得後は36年間外科医として生活、最後の26年間は全国一医師不足の埼玉県の地域急性期病院(済生会栗橋病院)で勤務。2014年に還暦を迎えたのを機に、15年3月で外科医を引退、医療再生のために情報発信活動に加えて市民活動等へ積極的に参加し、国民の幅広い連帯を目指している。NPO法人医療制度研究会副理事長。著書に『本当の医療崩壊はこれからやってくる!』(洋泉社)など。