元町映画館のイベントレポートから転載します。
2018.10.17
映画『ワンダーランド北朝鮮』公開記念、トークイベントを開催いたしました
初の北朝鮮政府公認で現地の様子をカメラに収めたドキュメンタリー映画『ワンダーランド北朝鮮』の公開を記念して、18回にもわたる訪朝経験がおありの立命館大学国際関係学部教授中戸祐夫先生をお招きし、公開二週目の10/14(日)にトークイベントを開催しました。当日映画をご鑑賞いただいた方の多くに参加いただき、内2名は北朝鮮への渡航経験があり、更に1名の方はルーツを北朝鮮にもち生活経験もあるということで、そういった体験談も挟みつつのトークとなりました。
まずトーク冒頭では、ご自身の渡航経験で目にしたものと、映画に写しだされたものがかなり近い感覚であるとお話いただきました。映画内にでてくる学生達の「お国の為に」という感覚と明確な目標をもった学生の気質についても、現地学生との交流の際に体感したそうです。
また、北朝鮮という国を理解する上で重要な「チュチェ思想」をキリスト教会との類似性をあげつつ解説いただきました。実際にチュチェ思想はキリスト教神学を下地に作っているという言質もあるようで、自己批判性、音楽・踊りの活用、全体主義・集団主義的、聖書のような位置付けの書物などなど大変共通性があり、これらを踏まえて映画を、また北朝鮮のことをみると大変理解が深まるのではないでしょうか。
最後にトークタイトルである「見る人々、見られる人々」についてのお話へ。『ワンダーランド北朝鮮』というタイトルがうまい日本語版タイトルだという中戸さん。実際に「不思議の国」という言葉があう国ではあるそうです。その一方で例えば日本を「先進国でありながら政治に不安があり、大量の貧困民を抱え、異常な数の自殺者が出ている」という切り取り方をすることもできる。我々が「見る人」になるときに、対象への知識や自分の持つ考え方といった「レンズ」を通してものをみており、つまり我々がもつレンズによってものの見え方は変わってくるというお話をいただきました。そういった意味では特に北朝鮮のような国は、背景知識の有無や、それを知った上でも判断のわかれる国で、まさにワンダーランドといえるようです。映画の見方のみならず、広くあらゆるものの見方に通じるお話をいただきました。中戸先生ありがとうございました。
(酒見)
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『ワンダーランド北朝鮮』上映&トーク
今回は元町映画館で公開される『ワンダーランド北朝鮮』です。
トーク 「見る人々、見られる人々」
日 時 10/14(日) 16:20の回上映終了後
会 場 元町映画館2Fイベントルーム
登壇者 中戸祐夫(なかとさちお)さん(立命館大学国際関係学部教授)
※当日映画を観られた方対象、参加無料
『ワンダーランド北朝鮮』公開記念!トークイベント開催決定!
大規模娯楽施設に、自然エネルギーを利用した循環型な暮らし。イメージと異なる北朝鮮を垣間見られる映画『ワンダーランド北朝鮮』。
北朝鮮政府公認で北朝鮮の“普通の人々”を収めたこのドキュメンタリーを、実際に何度も訪朝され、より“リアル”な北朝鮮を知る、立命館大学の中戸祐夫教授に解説していただきます。
監督チェ・ソンヒョン氏も、「北朝鮮を訪れた人は皆、北朝鮮での体験がどこからどこまで真実か判断に困るでしょう」と語る北朝鮮。
はたして私達が今作を通して知る北朝鮮は現実なのか。それとも…。乞うご期待!
『ワンダーランド北朝鮮』公式サイト
http://unitedpeople.jp/north/
元町映画館公式サイト
https://www.motoei.com/