柳澤協二×泥憲和 亡国の安保政策~安倍政権と「積極的平和主義」の罠(2015/6/19)

投稿日:

柳澤協二×泥憲和
まさに「亡国の集団的自衛権」

無駄な戦争せず、日本らしさ大切に

6月19日、恒例の市民学習会には130人以上が詰めかけて、質疑応答や意見交流も活発に行われました。第一部では、柳澤協二・元内閣官房副長官補(安全保障担当)が、「亡国の安保政策 安倍政権と『積極的平和主義』の罠」と題して講演。第二部では、かつて防空ミサイル部隊に所属した元自衛官の泥憲和氏との対談で、「なぜ集団的自衛権に反対するのか」を、生々しい経験談も交えながら、率直に語り合いました。

自殺者に加えて、戦死者も

イラク戦争のとき、防衛官僚として自衛隊を現地に送り出す側の責任者を務めた柳澤氏は、「あのときは、とにもかくにも一人の犠牲者も出さずに、全員無事に帰国させることに智恵を絞ったが、今度の法案には、もっと大変なことが書かれている」「現地の自衛隊幹部が、自らの判断で武器を使用できる条項も設けられ、後方支援のつもりが一発の銃声で情勢が一変し、戦闘状態に突入する可能性が高い」「ただでさえ帰国後の自殺者が多いのに、今度のリスクはその比ではなく、必ず戦死者を出してしまう」と、安倍内閣の“戦争法案”に、強い懸念を表明しました。
そして、「法律ができたら、それで終わりか」と問いかけ、「主権者が理解できない法律は不可。民意の抑止力が働き、強行採決は政権の〝終わりの始まり〟」「自衛隊が最初の〝一発〟を撃つまでには時間があり、〝国会承認〟を巡るたたかいが重要な意味をもつ」「来年の国政選挙は、憲法改定が焦点となる」「安倍政権の支持率が、あと5ポイント下がると、〝潮目〟は変わる」と、今後の展望を示しました。
最後に「無駄な戦争、犬死にはしない。平和憲法を持つ日本らしさを大切に」と強調し、「これをテーマに、今後も活動を続けていく」と、決意を述べ、盛んな拍手に包まれました。

柳沢協二さんと泥憲和さん

政府の説明は欺瞞がいっぱい 

対談では、泥氏の「軍隊が実際に、人を救助することは可能か」という問いに、柳澤氏は「実際の戦場で、軍人、民間人を救出した例を、ほとんど知らない」と答え、安倍政権が持ち出す集団的自衛権の正当性を疑問視。
逆に柳澤氏からは、泥氏に「自衛官は、たとえば今回のような集団的自衛権の行使という上官の命令を、どういう思いで聞くのか」との問いに、泥氏は、「日本を守るために自衛隊に入ったのであって、外国のために戦争する、というのでは話が違う」と、語りました。
さらに、泥氏は「自衛隊員の服務の宣誓、というのがあって、自分は『我が国の平和と独立を守る自衛隊の使命を自覚し、日本国憲法及び法令を遵守し、一致団結、厳正な規律を保持し、常に徳操を養い、人格を尊重し、心身を鍛え、技能を磨き…強い責任感をもって専心職務の遂行に当たり、事に臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に努め、もって国民の負託にこたえることを誓います』と宣誓して、入隊した」「憲法に忠実でないと、戦闘はできない」として、集団的自衛権の行使容認論を斥けました。また泥氏は、政府の言う「ホルムズ海峡に機雷敷設」必要論に対して、「あの辺りには原油のパイプラインが4本も通り、積み出し港は4つもあって、日本への油の輸送は、決して止まらない」
と強調。政府説明の欺瞞性を、明らかにしました。

 

☆報道記事が載っていましたのでご紹介いたします。
兵庫民報Web版 元内閣官房副長官補と元自衛官が対談:非核の政府を求める兵庫の会市民学習会

 

◎概要

非核の政府を求める兵庫の会 市民学習会
亡国の安保政策
安倍政権と「積極的平和主義」の罠

日時 6月19日(金)18:30~20:30
会場 兵庫県保険医協会5階会議室
http://www.hhk.jp/pages/access.php
講師 柳澤協二さん(元内閣官房副長官補)
対談 泥憲和さん(元自衛官・防空ミサイル部隊所属)
主催 非核の政府を求める兵庫の会
問合・事務局 電話 078-393-1833 shin-ok@doc-net.or.jp
協賛 市民社会フォーラム

安倍首相は、ISILによる邦人2人の殺害を防げなかったことについて、
検証をおざなりにする一方、「対テロ」を口実にして、
自衛隊海外派兵と集団的自衛権行使を可能にする安全保障関連法の整備を進め、「戦争ができる国づくり」をめざしています。
今回は、自衛隊出身者として、安倍政権の危険な道について徹底した批判をしているお二人をお招きします。
安全保障のスペシャリストとして歴代内閣に仕えた柳澤協二さんが講演し、
元自衛官で安倍政権の集団的自衛権行使に反対している泥憲和さんと対談いたします。

■柳澤 協二(やなぎさわ きょうじ)さん
「自衛隊を活かす:21世紀の憲法と防衛を考える会」(略称:自衛隊を活かす会)代表。
1946年東京都生まれ。大学卒業後の1970年に当時の防衛庁に入庁。
防衛大臣官房官房長、防衛研究所所長などを経て、2004~2009年まで内閣官房副長官補(安全保障担当)。
イラクへの自衛隊派遣などを監督する。2009年の退官後はNPO「国際地政学研究所」理事長などを務める。