2016年12月23日、文京区勤労福祉会館(東京都文京区)において、「言論と公益を脅かすニセ科学問題」と題するシンポジウムを開催しました。このシンポジウムでは、東京都板橋区議の松崎いたるさんを講師として招きました。松崎さんは、自身が被告となっている名誉棄損裁判の状況等について説明しました。この中では、板橋区が運営していたホタル館における様々な疑惑や、それに対する区議としてのこれまでの取り組み、そして自身が所属していた日本共産党から除籍となった経緯等についても詳しく語りました。
続いて、ニセ科学問題に関して、日頃からインターネットや書籍等にて情報を発信している有識者3名から、話題提供がなされました。京都女子大学名誉教授の小波秀雄さんは、いわゆるナノ銀の放射能低減効果について、科学的見地から疑問を投げかけました。
法政大学教授の左巻健男さんは、いわゆるEM菌の効果に対する批判意見に関し、批判を受けた側が批判者の職場等に押しかけたり、ジャーナリストや大学客員教授の肩書を使ったりするといった「批判封じ」と取れる働きかけをおこなっている状況等を紹介しました。
山形大学准教授の天羽優子さんは、ニセ科学の分野でみられる「恫喝訴訟」について、その傾向や対策を解説しました。この中で、訴訟を提起されにくくする、あるいは訴訟を提起されても不利になりにくいニセ科学批判の方法等を紹介。そのうえで、万一訴えられたとしても「訴訟を怖がる必要はない」と語りました。
この日は、祝日(天皇誕生日)でクリスマス直前、なおかつ年の瀬の慌ただしい時期の開催にもかかわらず、40名を超す聴講者の参加により、熱気のあるシンポジウムとなりました。
☆松崎いたるさん担当箇所
☆小波秀雄さん担当箇所
☆左巻健男さん担当箇所
☆天羽優子さん担当箇所
☆質疑応答箇所
◎概要
■□■市民社会フォーラム第193回学習会■□■
言論と公益を脅かすニセ科学問題
講 演(60分) 松崎いたるがどうして訴えられるにいたるのか?―ホタル生態環境館問題の闇
松崎いたる・板橋区議会議員
話題提供①(20分)放射能が消えるとはどういうことかー裁判資料を科学者の眼で読み解く
小波秀雄・京都女子大学名誉教授
話題提供②(20分)ニセ科学はなぜ市民道徳と社会的道義に反するのか?
左巻健男・法政大学教授
話題提供③(20分)ニセ科学の手口と対策
天羽優子・山形大学准教授
討 論(30分)
【開催趣旨】
ニセ科学を「インチキ」だと批判したら裁判に訴えられた!
こんな耳を疑うような言論の自由を脅かし、市民の公益を損なう事態が起きています。
ニセ科学は科学的な思考を麻痺させ、思考停止にし、市民を非科学の方向にいざなうものです。
ニセ科学が放置されれば、信じてしまった人たちは効果のない商品に散財してしまったり、健康に関するニセ医療などでは命にかかわる危険性もあります。
また、ニセ科学は行政や政治とも繋がって、市民の税金の無駄遣いにもなる場合もありえます。
今回は、ナノ銀で放射線が除染できるというインチキ・ニセ科学を批判したら訴えられたという事例を中心に検討を行いますが、類似の事例はこれだけにとどまりません。
なぜニセ科学を公益性を守るためにインチキだと批判しなければならないのか、
ニセ科学を批判することで生じかねない不利益を防ぐためにどのような心構えが必要なのか、
被害にあった当事者とニセ科学問題に詳しい研究者をお招きしてお話しいただきます。