【レポート】『ナディアの誓い -On Her Shoulders』上映&トーク(2019/4/7日@元町映画館)

投稿日:

元町映画館のイベントレポートから転載します。

2019.4.7 4/7(日)『ナディアの誓い』トークイベント開催!

2018年にノーベル平和賞を受賞した人権活動家ナディア・ムラドのドキュメンタリー映画『ナディアの誓い』
公開を記念してナディアの自伝「THE LAST GIRL イスラム国に囚われ、闘いを続ける女性の物語」を翻訳された吉井智津さんと、同書を出版された東洋館出版社編集部、大竹裕章さんをお迎えして映画上映後にトークイベントを開催しました。

トークの序盤ではナディア・ムラドさんの来歴について説明がありました。1993年にシリア北部のヤズィディ教徒(クルド人の一部が信じる民族宗教)のコミュニティ、コーチョ村にナディアは生まれました。2014年8月、民族紛争に起因する襲撃をイスラム国ISISがコーチョへ行います。成人男性と高齢の女性は虐殺され、ナディアを含む若い女性は性奴隷として拉致されました。拉致されて3ヶ月後、あるイスラム教徒の家族に助けられたナディアは国内の難民キャンプ、そして避難先のドイツへ逃れます。報道機関へ自身の体験を告白していく中で人権弁護士アマル・クルーニー(俳優ジョージ・クルーニーの妻)の庇護を受けます。アマルは「THE LAST GIRL」の序文を書いており、ナディアは友人であると言っています。2018年10月「戦場や紛争地域において兵器として用いられる戦時性暴力を終結させるための努力に対して」ノーベル平和賞がナディアへ贈られました。

ゲストお二人のトークはナディアの自伝「THE LAST GIRL」を中心に展開されました。

吉井さんは翻訳する上で特に配慮されたことを話されました。ナディアを取り巻く複雑な事情について知らなかったので資料を集めて調査しました。原書の使用言語は英語です。これはナディアがシリア語で話した内容を聞き手が英語に訳したものです。ですから高校生でも読める簡単な英語です。しかし起こっている出来事が特殊すぎてその辺りを汲んで訳すのが難しかったです。

出版社編集部の大竹さんは刊行の経緯を話されました。ナディアがノーベル平和賞を受賞して1ヶ月後に出版されましたが、受賞が決まってから急いで出版した訳ではないです。 2016年にエージェントから30ページの概要をもらって読んだ時に出版すべきだと思いました。 2015年にはシリアで日本人が拘束された人質事件がありました。しかしイスラム国で何が起きているかを扱う書籍が少なくなってきていました。

映画の終わりの方で書籍「THE LAST GIRL」にサインをしているナディアが映されます。題名に込めた思いは、こういう体験をする女性は私を最後としたい、です。
また映画の副題「on her shoulders」には彼女が負った両肩の重荷を他の人々が少しでも肩代わりできるはずだという思いがあります。
映画『ナディアの誓い』は元町映画館で連日10:30から上映しています。上映期間中は書籍「THE LAST GIRL」を受付で販売しています。
皆さまのご来場をお待ちしております!
(高橋)

 

■□■市民社会フォーラム第108回映画鑑賞会■□■
  『ナディアの誓い -On Her Shoulders』

日 時 4/7(日) 10:30の回上映終了後 
会     場 元町映画館2Fイベントスペース
登壇者 吉井智津さん(出版翻訳者)、大竹裕章さん(東洋館出版社編集部)
※当日映画を観られた方対象、参加無料

映画館で公開される映画の鑑賞会。今回は『ナディアの誓い -On Her Shoulders』です。

ナディア・ムラドさん自伝翻訳者トークイベント開催決定!
 ISIS(イスラム国)により家族を殺され、自身は捕らえられ性奴隷とされた23歳のナディア・ムラドさん。
命からがら脱出に成功し、被害者をなくすため表舞台に立ち痛ましい体験を苦しみながらも訴え続け、2018年ノーベル平和賞を受賞した彼女の闘いに迫るドキュメンタリー『ナディアの誓い』。
公開を記念して、ナディア・ムラドさんの自伝「THE LAST GIRL」を翻訳された吉井智津さんと編集者の大竹裕章さんにお越しいただき、トークしていただきます。

『ナディアの誓い -On Her Shoulders』 http://unitedpeople.jp/nadia/
元町映画館 https://www.motoei.com/