【レポート】市民社会フォーラム第66回映画鑑賞会「火の山のマリア」(2016/5/22日@元町映画館)

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元町映画館のイベントレポートから転載します。

2016.5.24
『火の山のマリア』トークイベントを開催しました。

5/22(日)グアテマラ先住民の母娘の苦難を描いたこの映画の背景について鈴木紀(もとい)さんにお話し頂きました。
鈴木さんは大阪の吹田市にある国立民族学博物館、通称みんぱく、でグアテマラに近いメキシコを人類学の方法で研究されています。
1983年メキシコ留学時に好奇心から初めてグアテマラを訪れたそうです。
当時グアテマラはリオス・モントという軍人の政権末期で内戦状態にありました。
鈴木さんはその危険な最初の訪問後も学会やフェアトレードの研究等で何回か行かれています。
地理は、メキシコの南、北東はカリブ海、南は太平洋に面しており、農業国でコーヒーが有名です。
先住民であるマヤ系民族には21もの系列言語があり部族もいくつかに分かれています。
トウモロコシを主食とし、宗教はカトリックです。
映画の舞台は南部の高地、そこの先住民はカクチケル族と呼ばれています。
ラディーノと呼ばれる民族区分があり人種的には先住民であっても公用語のスペイン語を話すことで「非」先住民に分類されます。
監督のハイロ・ブスタマンテはラディーノです。
映画に描かれた貧困と差別の現状は25~30年前のグアテマラの印象に近いようです。
しかし現在でも先住民と非先住民との格差、また同じ先住民間でも格差はあります。
また社会問題として生まれた赤ん坊を売買する児童売買がグアテマラの裏社会では行なわれています。
明るい話題としてマヤ民族の女性衣装はデザインに優れており、フェアトレードの商品として十分に魅力があります。
ようやく政情が安定し母国グアテマラを撮って欧米で評価されたブスタマンテ監督の次回作は早くも期待されるところです。
今回の作品はグアテマラ国内の問題でしたが大国の周辺としての動乱の歴史が描かれたらきっと凄いだろうと思います。
『火の山のマリア』は元町映画館にて5/27(金)迄の上映です。
(高橋)

■□■市民社会フォーラム第66回映画鑑賞会■□■
「火の山のマリア」

トーク「グアテマラ先住民族:スクリーンの中と外」
日 時 5/22(日) 10:30の回上映終了後
会 場 元町映画館2F
登壇者 鈴木 紀さん(国立民族学博物館)
※当日映画を見られた方対象、参加費無料。

「火の山のマリア」公式サイト http://hinoyama.espace-sarou.com/
元町映画館公式サイト http://www.motoei.com/

 市民社会フォーラム恒例、一般公開の映画の鑑賞会。
今回は元町映画館で公開の「火の山のマリア」とアフタートークです。
『火の山のマリア』スペシャルトーク開催決定!
マヤ文明の繁栄したグアテマラの高地を舞台に、昔ながらの習慣と伝統を守りながら生きる先住民たちの暮らしの中で、人生と闘おうとする少女と娘を守ろうとする母の姿を描いた『火の山のマリア』。本作の公開を記念して、グアテマラ先住民族についてより深く理解するためのトークを開催します。

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