【レポート】『返還交渉人 いつか、沖縄を取り戻す』上映&トーク(2018/9/1土・2日@元町映画館)

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元町映画館のイベントレポートから転載します。

018.09.04
『返還交渉人 いつか、沖縄を取り戻す』立岩陽一郎さんトーク開催しました!

9/1(土)『返還交渉人 いつか、沖縄を取り戻す』初日上映後、ジャーナリストでファクトチェック・イニシアティブ副理事長の立岩陽一郎さんをお迎えして、「沖縄基地問題の報道をファクトチェックする」と題したトークを開催しました。劇場はほぼ満席、トーク会場も満席で熱気ムンムンです!
翁長知事の急逝により知事選が今月末へと前倒しになったことで、改めて注目を集めている沖縄。立岩さんは1991年にNHKに入社されてすぐ沖縄に配属され、5年間過ごされました。その間に米兵による少女暴行事件(1995年)も起き、米軍基地に悩まされる沖縄の人たちの感情を肌で感じてこられました。
沖縄時代に最後に制作された番組は「普天間基地は返還されない」というものでしたが、奇しくも放送翌日に、橋本龍太郎首相とモンデール米駐日大使(当時)が普天間基地の返還合意を発表しました。「人生でいちばんの恥」と立岩さんは言いながら、なぜこのようなことが起きたのかを話されました。
普天間基地について、政治部の記者たちはみな口を揃えて「返還はあり得ない」と言っており、それを裏付ける政府の膨大な資料もあったそうです。「それが事実なのかと疑うことなど思いつきもしなかった。でも、いつでも政策は勝手に決まっていってしまう」。そして、政府の発表や報道は「正しいんだ」と鵜呑みにせず、まず立ち止まって考えてみることが大事だと強調されました。
映画の主役である外交官・千葉一夫は、最後は駐英大使だったそうです。これは最大の出世と言えるため、映画で描かれるほどには省の反発はなく、外務省で大事にされていたのではないかと立岩さんは推測されます。それでも外交官の頑張りをよそに、議論を交わすこともなく決まってしまうのが政策で、それは映画でも描かれていた通りです。
1950~60年代の基地闘争を経て問題が内地から沖縄に移ると、政治も市民も闘争の灯が消えて、沖縄の人だけが基地に反対しているように感じるというお客さまの指摘が心に残りました。知事選を控えた今だからこそ、本土に住む私たちも沖縄への眼差しを忘れず、未来を考えていかなければと強く感じました。『返還交渉人』は9/14(金)までの上映です。ぜひご覧ください。
(mirai)

2018.09.04
『返還交渉人 いつか、沖縄を取り戻す』公開2日目スペシャルトーク開催!

沖縄に人生をかけた男の生き様を描いた『返還交渉人 いつか、沖縄を取り戻す』の公開を記念して、「今の日本映画界ってどうなってるの?」と題し、西岡琢也さん(脚本)と岸野令子さん(映画パブリシスト)のスペシャルトークを開催しました!
前日は沖縄基地問題についてのトークでしたので本日は日本の映画界について。
この作品はNHKで去年8月12日に放送されたドラマを映画化したものです。
NHKの記者である宮川徹志さんが、主人公である千葉一夫さんを”発見”し、一冊の本にします。
宮川さんはこの本を映像にしたい、と硬派な作品を作るディレクターの柳川さん(西川さんの高校の後輩だそうです!この作品で五本目のタッグ)に依頼しました。
柳川さんから西岡さんに電話があり「先輩、やりませんか」「やろやろ」と始まります。
当初、NHK地上波が希望でしたが、諸事情でBSプレミアムになりました。
そのチャンネルではまあまあの視聴率でしたが、柳川さんはその数字を悔しがり、映画展開しようと決めたそうです。
原案は宮川さんのノンフィクションで、それを元に沖縄の歴史、返還前後の沖縄、日本の政治、アメリカの動きなどを調べ、フィクションにしていきます。
今、映画界で多い作品は原作ものです。
ある時期から映画界は不況になりましたが、出版界も同じく不況になっていきました。
角川春樹さんが横溝正史さんや森村誠一さんの角川文庫を売る為に映画を作ります。
本を売る為に映画を作るという流れがありましたが、今は売れる映画を作る為に原作を探すことが多いそうです。
そうしていると小説原作のネタが尽きてきたのでマンガ原作が増えます。
テレビ界も映画に進出し、テレビドラマの映画版も増え、今や映画、出版、テレビの三つ巴になりました。
昔は映画を一本観たら、もっと他の映画を観たくなることが多かったと西岡さん。
若い頃に「2001年 宇宙の旅」を観て映画の可能性に感動されたそうです。
その映画に力があればどんどん広がっていくはず。今は残念ながら映画に魅力がないと。
西岡さんが仕事に就いたのは1970年後半でした。
大映が倒産し、日活がロマンポルノに切り替わり、東映が任侠から実録路線に切り替わる端境期でした。
当時、日本映画界は最低だと言われていたそうですが、現在に比べるとマシだと…
脚本家にとって大事なのは俳優さんです。書いたものを演じてくれる人たちがいて映画になります。
西岡さんが脚本を書いたテレビドラマ「京都迷宮案内」に出演された大滝秀治さんは舞台出身で台詞を丸暗記して演じてくれました。
表情や間が絶妙で、脚本家が書いた以上のものを表現してくれたそうです。
今は監督などが俳優の言いやすいように変えてもらうこともあるので脚本とは違うものになってしまうと。
若い俳優たちはCM出演で稼ぎ、合間でドラマや映画に出るので芝居を覚えない悪循環になっています。
とっておきの話もあったそうですが、タイムリミットが来てしまい終了になりました。
西岡さん脚本の『返還交渉人 いつか、沖縄を取り戻す』は9/14(金)までの上映です。
是非、劇場でご覧ください!
(和田)

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 『返還交渉人 いつか、沖縄を取り戻す』上映&トーク

今回は元町映画館で公開される 『返還交渉人 いつか、沖縄を取り戻す』です。

トーク①「沖縄基地問題の報道をファクトチェックする」
日 時 9/1(土) 10:20の回上映終了後
会 場 元町映画館2Fイベントルーム
登壇者 立岩陽一郎さん(ジャーナリスト/ファクトチェック・イニシアティブ副理事長)

トーク②「今の日本映画界ってどうなってるの?」
日 時 9/2(日) 10:20の回上映終了後
会 場 元町映画館2Fイベントルーム
登壇者 西岡琢也さん(脚本)、岸野令子さん(映画パブリシスト)

※いずれも当日映画を観られた方対象、参加無料

2018年9月1日(土)、2日(日)
『返還交渉人 いつか、沖縄を取り戻す』初日・2日目連続スペシャルトーク開催決定!

アメリカの統治下にあった沖縄から核兵器を撤去させ、ベトナム戦争の出撃拠点とならないようアメリカと激しい外交交渉を重ね「鬼の千葉なくして沖縄返還なし」と称された伝説の外交官・千葉一夫。沖縄に人生をかけた男の生き様を描いた『返還交渉人 いつか、沖縄を取り戻す』。公開を記念して、公開初日と2日目に連続でスペシャルトークを開催することが決定しました!