【レポート】上映『ガザの美容室』&岡真理さんトーク(2018/7/22日@元町映画館)

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元町映画館のイベントレポートから転載します。
2018.07.24
『ガザの美容室』岡真理さんトーク開催しました!

パレスチナ・ガザの小さな美容室を舞台に、突如始まった戦闘に外に出ることもできず取り残された女性たちを描いた『ガザの美容室』。公開を記念して、7/22(日)に「“デグラデ”―《封鎖》によって崩れゆく社会」と題して岡真理さん(京都大学大学院人間・環境学研究科教授)のトークを開催しました。
トークタイトルの“デグラデ”とは美容用語のレイヤーカットという意味もあります。 今回は、パレスチナにおけるハマース(イスラエル抵抗運動)とファタハ(パレスチナ民族解放運動)の関係、ガザ地区の成り立ちの解説からトークは始まりました。
タルザン&アラブ・ナサールの兄弟監督は1988年、ガザ地区にあった最後の映画館が閉館した1年後に生まれました。幼少期、映画館で映画が観られなかったそうです。二人はガザウッドと称して、イスラエルの作戦名がタイトルの架空映画のポスターを作ったり、短篇映画も作っていました。
『ガザの美容室』は、メタファーとしての美容室=十分な電気もない、女性たちが閉じ込められた小さな美容室=200万人のパレスチナ人が監禁されている完全封鎖下のガザの状況を示唆しているのではないでしょうか。外での戦闘、女性たちの喧嘩もそれぞれハマース対ファタハ、パレスチナ内部の分裂(二重政府状態)の暗喩にも思えます。
パレスチナでは燃料不足による計画停電で、病院などの施設も満足には動いていません。電気のない中の勉強で子供達の学力は低下しています。産業基盤も破壊されており失業率40%、難民キャンプの若者たちに至っては80%超え、日々の生活のストレスから鎮痛薬のトラマドール中毒が蔓延しているそうです。
“デグラデ”のもう一つの意味、「劣化していく」の通り、パレスチナの市民の心は荒んでいます。この映画はガザ封鎖によって劣化していく人間たちの暗澹たる状況を象徴している、と岡さんはおっしゃっていました。
トークはまだまだ続き、このレポートでは伝えきれません。次回また岡さんのトークがありましたら是非ご参加ください。
マスコミの報じない情報を映画によって得られることもあります。『ガザの美容室』は当館で8/10(金)までの上映です。
(和田)

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   上映『ガザの美容室』&岡真理さんトーク

トーク 「“デグラデ”―《封鎖》によって崩れゆく社会」
日 時 7/22(日) 13:00の回上映終了後
会 場 元町映画館2Fイベントルーム
登壇者 岡真理さん(京都大学大学院 人間・環境学研究科教授/現代アラブ文学)
※当日映画を観られた方対象、参加無料

今回は元町映画館で公開される『ガザの美容室』です。

『ガザの美容室』岡真理さんトーク開催!
パレスチナ・ガザの小さな美容室を舞台に、通りの向こうで突如始まった戦闘に外に出ることもできず取り残された女性たちを描いた『ガザの美容室』。公開を記念して、岡真理さんにお越しいただき、本作の原題である「デグラデ」が象徴するガザの封鎖をテーマにお話しいただきます。

元町映画館公式サイト http://www.motoei.com/
『ガザの美容室』公式サイト http://www.uplink.co.jp/gaza/