【レポート】『ニコラス・ウィントンと669人の子どもたち』鑑賞&トーク(2017/1/8日@元町映画館)

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元町映画館のイベントレポートから転載します。

2017.1.11
『ニコラス・ウィントンと669人の子どもたち』スペシャルトーク開催

イギリスのシンドラーと呼ばれ、第二次大戦中にユダヤ人の子どもをホロコーストから守ったニコラス・ウィントンの姿を追った本作。1/8(日)、上映を記念して「普通の人びとにとってのホロコースト」と題したトークを開催しました。
ゲストは望田幸男さん(同志社大学名誉教授、ドイツ近現代史)。

まずはトーク冒頭、「日本では一番わかりにくくなっているのはユダヤ人であることの定義。ナチス関係でよく何百万人のユダヤ人が殺されてたと言う報道はよく耳にするが、いまいちピンとこないものが多い」とおっしゃいました。

そしてユダヤ人の定義、ナチズムの誕生、パレスチナ建国までをお話ししていただきました。私はユダヤの歴史は高校生で学んだきりなので知識は非常に乏しいですが、やはり複雑な問題なのだと。ナチスが第二次大戦中に曖昧だったユダヤ人への対処を「法律」(おそらくニュルンベルク法)によって明文化したことが悲劇を生んだとも仰いました。

「キンダートランスポートを自分の家庭に広げて行うことは非常にリスクがあることだ」と仰いました。作中でも警察からプライベートを探るため美人女性スパイを使ってニコラスさんに近づいた描写もあります。まさに命がけの行動と言えます。

またホロコーストの中心人物である「アドルフ・アイヒマン」にも言及しました。「普通の人間だった彼がたまたま出会ったのがホロコーストの仕事。昇進意欲のあった彼はナチスの幹部として仕事を全うした男だった」と、一般人の中で生まれた”悪の陳腐さ”を見たと締めくくりました。

本作を「泣けるドキュメンタリー映画」と考えておりましたが付け加えます。泣けて学べる。
映画はやはり歴史背景を知っていればもっと楽しめます。ホロコーストによってどれだけの数が…というのでなく「なぜ起こったか」そのような歴史背景を改めて知りたくなるようなトークでした。

『ニコラス・ウィントンと669人の子どもたち』の上映は1/27(金)まで。

(芋羊甘)   


■□■市民社会フォーラム第78回映画鑑賞会のご案内■□■

   『ニコラス・ウィントンと669人の子どもたち』トーク「普通の人びとにとってのホロコースト」
日時:1/8(日) 12:10の回上映終了後
登壇者:望田幸男さん(同志社大学名誉教授、ドイツ近現代史)
※当日映画を観られた方対象、参加無料。
※トーク会場は劇場よりも狭いため、ご希望の方全員を収容できない場合もございます。予めご了承ください。市民社会フォーラム恒例、一般公開の映画の鑑賞会。
今回は元町映画館で公開の『ニコラス・ウィントンと669人の子どもたち』です。

第二次世界大戦開戦前夜、ナチス・ドイツの迫害を受けるユダヤ人の子どもたちを安全な国に疎開させる「キンダー・トランスポート」をチェコスロバキアで行い、
669人もの子どもたちを救ったニコラス・ウィントン。
「イギリスのシンドラー」と呼ばれた彼と彼に救われた子どもたちの足跡と人生を追ったドキュメンタリー『ニコラス・ウィントンと669人の子どもたち』の公開を記念して、
ホロコーストにおける“加害”と“被害”についてのトークを開催します。

『ニコラス・ウィントンと669人の子どもたち』公式サイト
http://nicholaswinton.jp/
元町映画館公式サイト
http://motoei.com/